瓶文通信

鯖寿司と天ぷらが好き。

あげくの果てのカノン

あげくの果てのカノン

という漫画を読んだ。とても面白かった。


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これは、全五巻のSF×不倫漫画。

災害続きの東京で、主人公カノン(独身・処女)は高校時代の先輩(既婚者)に10年弱の片想いをしている。しかも、先輩のゴミを収集したり、隠し撮りしたりとなかなかのストーカーっぷりである。

高校時代から変わらず先輩のことを好きでい続けるカノンと、職業柄の戦闘で身体を損傷し「修繕」を繰り返すその度に心や好みが変化し続ける先輩の対比が面白い。

 

カノン自体が、読者に共感されるかされないかギリギリのところにいる、一見気持ち悪く、自己中心的なキャラクターであるが、だからこそ、一瞬の自分(読者)との重なりや的を得たことを言うとき、倫理観が揺さぶられて、なるほどな、と変てこな彼女の恋愛感に納得してしまう。

これは、この作品を評価しているという、村田沙耶香の作品を読んでるときと似た感覚かもしれない。

あと、映画「友だちのパパが好き」とかも近いかな。

 

そもそも「恋愛的な好き」は気持ち悪く、本能的な感情だ。私は、他人に嫌われるより恋愛的に好かれる方が、気色悪く逃げ出してしまう(もちろん、人によるけど)。その気持ち悪さをいかんなく発揮するこの作品には、とても腑に落ちるところがあり、面白いと思うのです。

 

そして、単純に絵が綺麗で、センスが良い。永田町に発生する化け物「ゼリー」は、植物やクラゲのようで、気持ち悪さと美しさが共存している。

このような異質な化け物が出てくるとき、そのデザインによって作品の出来が左右されるといっても過言ではない、と私は思う。

私が好きなのは、映画「複製された男」のクモとか、ヒグチユウコとか…。

 

そんな感じでした!