瓶文通信

鯖寿司と天ぷらが好き。

好きな映画1「害虫(塩田明彦監督/2002/92分)」

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頼まれてもいないのに「そろそろ今年のベスト映画も発表準備しなきゃなー」と思っている。毎年その年に私が観た映画のなかで10作品ほどを選び色々な人に送りつける、というのをもう何年もしている。このブログにも載せたいのだけど、その前に私の趣味趣向を示しておきたいので、まずはこちら。

 

「害虫(2002)」

主人公の北サチ子(宮崎あおい)は中学1年生。彼女は母子家庭で、この映画はサチ子の母親(りょう)が、ふられた恋人宅で手首を切るシーンから始まる。劇中でもこの母親は、娘と二人の家に悪気無く恋人を出入りさせたりご飯出したりしている配慮の足りないひと。サチ子はそのような家庭環境な上に、学校では小6の頃の担任(田辺誠一)と「あやしかった」と噂されていたり、仲の良い友だちもいなかったりでどこにも居場所がなく、ふらふらしている。

 

物語自体はあるような無いような・・・で、本当に宮崎あおいがふらふらし続ける映画。しかし、この頃の正に子どもと大人の中間地点である宮崎あおいがドストライク。これは大森靖子MV「ミッドナイト清純異性交遊」の蒼波純ちゃんにも言えるし、橋本愛ちゃんなら「告白」。私は中学生くらいの女の子が好きなんだと思う。

ちなみに塩田監督の他作品はいくつか観たがハマらず、私はこの作品だけに執着している。作中に出てくる元担任の先生(田辺誠一)とサチ子の文通内容が好きなのだが、脚本を担当している清野弥生さんは検索しても他の作品がヒットしない。撮影監督の喜久村徳章さんの撮影された作品には「CURE」や「おにいちゃんのハナビ」、「幸福な食卓」など私の好きな作品がたくさんあった。

この作品のウィキペディアには「タイトルの意味は監督自身が『サチ子こそが害虫であり、ゴジラである』とコメントしているように、図らずも周囲の人々を破滅させていくサチ子の比喩表現である。」とあるが、私からしたら「こんなに可愛いあおいちゃんを『害虫』呼ばわりするなんて」という感じである。むしろ宮崎あおいこそが正常であり、真っ赤なりんご。その他全ての登場人物がそのりんごにたかってくる害虫だろう。私はこの作品が好きだけど、多分監督とは違った解釈で感動していると思う。しかし、それだけ解釈や想像を広げられるこの作品が尊く素晴らしいのは確か。台詞が少なめなのも良いんだよなぁ。

 

私なりに類似作品をあげるなら、無自覚エロの少女を思う存分眺められるという意味では、「エコール」と「裸足の季節」。

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中高生の退廃的な感じは「リリィ・シュシュのすべて」、少女に惑わされると言えば「ロリータ」などを連想するんだけど結局この作品は唯一無二。NUMBER GIRLの音楽もカッコ良くて、つまりは、とても好きです。