瓶文通信

鯖寿司と天ぷらが好き。

映画作品ベスト10(2023)


私が2023年に見た映画ベスト。ノット2023年公開された映画ベスト。

 

①僕と世界の方程式(モーガン・マシューズ/2014)

自閉症スペクトラム少年の成長物語。イライラするほどにもどかしいシーンも続くが、ラスト・クライマックスのためだったのだと分かる。音楽も好き。


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②ター(トッド・フィールド/2022)

コロナの無い世界の話だけど、なんとなく不安になる感じがコロナ禍っぽい。何度も見ないと理解できない感じだけど面白い。ハネケ好きな人は好きであろうモニカ・ヴィッリ編集作品。薄暗く不気味な中に強めのケイト・ブランシェット。好き。


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カランコエの花(中川駿/2016)

LGBTと高校生。めちゃくちゃ生々しい。何を正しいとも言い切らない感じが好き。


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④LAMB(ヴァルディミール・ヨハン/2021)

モカワ映画が好きなのでささった。考察させる系なのも好み。


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⑤娘は戦場で生まれた(ワアド・アル・カデブ/2020)

ウクライナとガザの問題で他人事でなくなってきた今日この頃。誠実なドキュメンタリー。誇張も演出も無さそうなのが良い。


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⑥そして僕は途方に暮れる(三浦大輔/2022)

三浦大輔大好き。しょうもない男がうろうろうろうろ…めっちゃ良かった。現代のサンタ・サングレ。


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⑦ミセス・ハリス パリへ行く(アンソニーファビアン/2022)

おばあちゃん、可愛い。ドレス着てないときのファッションも可愛い。


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⑧少年の君(デレク・ツァン/2019)

ありがちな話だけど、演出や主人公の女の子の雰囲気がとにかく良い。


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⑨ある人質 生還までの398日(ニールス・アルデン・オプレヴ他/2019)

邦題はどうかと思うが、エンタメ映画ながらISISやジャーナリズム、拉致問題について考えさせる。


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⑩きさらぎ駅(永江二朗/2022)・N号棟(後藤庸介/2021)

こういうアホみたいなホラーが好きなんじゃ。

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今年見た本数 55本。

映画作品ベスト10(2022)

1.アマンダと僕(ミカエル・アース/2019)f:id:chiharebbb:20220123133031j:image

 

2.街の上で(今泉力哉/2021)f:id:chiharebbb:20220104204210j:image

 

3.雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(ジャン=マルク・ヴァレ/2015)

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4.ビリーバーズ(城定秀夫/2022)

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5.トゥルーノース(清水ハン栄治/2020)


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6.めぐりあわせのお弁当(リテーシュ・バトラ/2013)


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7.バービー(イ・サンウ/2011)


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8.星の子(大森立嗣/2020)


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9.ザ・ハント(クレイグ・ゾベル/2020)


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10.あなたはわたしじゃない七里圭/2018)


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今年見た本数112本。

 

映画作品ベスト10(2021)

※私が2021年に観た映画(ノット2021公開作品)

1、テルマ(2017/ヨアヒム・トリアー)

さすがは、ラースフォントリアーの親戚といった作風。

願ったことが叶ってしまう能力をもった少女の不気味で不穏な作品。キリスト教のモチーフがあらゆるところで登場しているのは、「マザー」を考察するときに似た楽しさ。

色々とややこしい話だけど、女の子の処女性・家族からの脱却、禁欲解放…的な感じで観るとスッキリする。

ノルウェーとかフィンランドとかの寒い地域の映画、不気味でぼそぼそしてて好き。


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2、シャイニーシュリンプス!(2021/セドリック・ル・ギャロ、マキシム・ゴヴァール)

実力はあるけど人間的に問題がある水泳選手がゲイの水球チームのコーチになってLGBTQのみが出られる大会に挑戦するんだけど、お馬鹿でお下品で、可愛くて最高。

めちゃくちゃ抱えてる物は重いのに、強く可愛く笑って生きてる彼らをみて、私も頑張ろう!てなった。なんと実話。


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3、デッドゾーン(1983/デヴィッド・クローネンバーグ)

好きです、クローネンバーグ。

事故をきっかけに、ふれた人の運命が分かる能力を手に入れた主人公の話。色々な話が盛り込みまくりで、一周めは理解が追いつかないが、ラストは「愛」についてを描く優しい映画なのかな、と思った。


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4、フレンチアルプスで起きたこと(2014/リューベン・オストルンド

家族サービスで、家族を素敵なホテルに連れて旅行に来たお父さんが、雪崩が来たときに一目散に一人で逃げる。雪崩は大事に至らなかったが、家族を守らなかったことから、微妙に嫌な空気が続く。

シュールな笑い。とても好み。何が起きるというわけではないのだけど、居心地の悪い雰囲気と、その緊張感のなかで発生する笑いが最高。


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5、グリーンブック(2018/ピーター・ファレリー)

天才ピアニストが、黒人差別真っ只中の地域でツアーをする。相棒の荒っぽい白人男性トニーとのドタバタ珍道中。

招かれてピアノ弾いてるはずなのに、トイレも使わせてもらえないし、同じ場所で食事もNG。ピアニストは黒人差別に加えてホモであることを隠してるので、余計に孤独でしんどい。けれど、そんな湿っぽさを漂わせながら作品は軽快。実話。

アラゴルン、いつの間にこんな汚いおっさんに…。

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6、ウトヤ島、7月22日

子どもたちが集まった島(夏休み合同遠足的な)で警官になりすました一人の男が銃乱射事件を起こし、77人が死亡する。目的も分からないまま、子どもたちは小さな島を逃げ惑う。その様子をまるまる二時間弱で。しんどい臨場感たっぷり。
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7、窮鼠はチーズの夢を見る(2020/行定勲

成田くん(ゲイ)、大倉くん(ノン気)のからみ、ごちそうさまです。このレベルの役者使ってこんなに裸とイチャイチャ見せてもろてええんですか。ほろ苦大人な恋愛。


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8、聖なる犯罪者(2019/ヤン・コマサ)

服役経験のある男が、それを隠して勝手に聖職者になりすます。とても好みの質感。

ラストをどう受け止めたらいいのか、難しい。

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9、メランコリック(田中征爾)

夜中の銭湯では殺しの後始末が行われている。殺し屋に巻き込まれていく新人銭湯バイトくんを描いたほのぼの映画。知ってる役者が出てこないのに、非常に集中して見られて、笑えて、面白かった。


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10、プラットフォーム(2019/ガルダー・ガステル=ウルティア)

社会実験に参加する主人公。上から下へエレベーターのように食事が大量に降りてきて、上から順に食事を済ませていく。当然、下の階層になると残飯しか残っていない。ただし、食事の量はきちんと人数分乗っており、それぞれが一人分だけ食べれば全員食にありつけるはずなのだ。(ちなみに、階層は1ヶ月ごとにランダムに入れ替わる)

イデア勝負一発。飽きさせない展開。設定やシステムに突っ込みたくなるところは、気になる。


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2021年観た本数、60本。

ここにきて、かなり減りました。仕事が忙しかったのと、映画好きの人と会わなくなったのが理由かなぁ。やっぱり、感想を共有したい!

とはいえ、この間映画館行って、「いやあ、映画っていいもんですねぇ」となったので、まだまだ自分のペースで観ていきたいと思います。

197本(2016)→149本(2017)→163本(2018)→137本(2019)→111本(2020)→60本(2021)

あげくの果てのカノン

あげくの果てのカノン

という漫画を読んだ。とても面白かった。


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これは、全五巻のSF×不倫漫画。

災害続きの東京で、主人公カノン(独身・処女)は高校時代の先輩(既婚者)に10年弱の片想いをしている。しかも、先輩のゴミを収集したり、隠し撮りしたりとなかなかのストーカーっぷりである。

高校時代から変わらず先輩のことを好きでい続けるカノンと、職業柄の戦闘で身体を損傷し「修繕」を繰り返すその度に心や好みが変化し続ける先輩の対比が面白い。

 

カノン自体が、読者に共感されるかされないかギリギリのところにいる、一見気持ち悪く、自己中心的なキャラクターであるが、だからこそ、一瞬の自分(読者)との重なりや的を得たことを言うとき、倫理観が揺さぶられて、なるほどな、と変てこな彼女の恋愛感に納得してしまう。

これは、この作品を評価しているという、村田沙耶香の作品を読んでるときと似た感覚かもしれない。

あと、映画「友だちのパパが好き」とかも近いかな。

 

そもそも「恋愛的な好き」は気持ち悪く、本能的な感情だ。私は、他人に嫌われるより恋愛的に好かれる方が、気色悪く逃げ出してしまう(もちろん、人によるけど)。その気持ち悪さをいかんなく発揮するこの作品には、とても腑に落ちるところがあり、面白いと思うのです。

 

そして、単純に絵が綺麗で、センスが良い。永田町に発生する化け物「ゼリー」は、植物やクラゲのようで、気持ち悪さと美しさが共存している。

このような異質な化け物が出てくるとき、そのデザインによって作品の出来が左右されるといっても過言ではない、と私は思う。

私が好きなのは、映画「複製された男」のクモとか、ヒグチユウコとか…。

 

そんな感じでした!

 

 

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

人生で一番好きなドラマは何ですか

と聞かれたら、このドラマを挙げるかもしれない。

流星の絆」とか「白い春」とか「マイボスマイヒーロー」とか…「火花」も「俺の話は長い」もすごく良かったけど、真っ先に思い出す作品はきっと。

 

2016年に観て、毎週すごく感動したのは覚えていたけれど、今再放送しているのを観ても、毎回泣いてしまう。


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今日観たのは、最終回ひとつ前の回だ。

主人公の音(有村架純)は、レン(高良健吾)に、今まで誰にも話せなかった母を火葬した日の夕暮れの色の話をする。「今まで誰かに話したかったんだけど、ちゃんと伝わらない気がして」言えなかった、と。

 

そして、あたし号泣。笑

わかる。わかるよ。って。

職場でのちょっとした話を報告しあう場面でも泣く。そうそう、こんなんで、いや、こういう感じがいいんだよな、と。

 

 

そして、自分の抱えるどうしようもない孤独について考える。

ニュアンスのちゃんと伝わりそうにない微妙な、でも誰かに話したい、誰にも話せていない話が多すぎるのだ。

 

世の中の人は一般的に「明るい人」が好きだと思う。分かりやすくて、快活で、健康的な人。

私も、公的な場ではそういう人間に寄せているし、それが社会的な礼儀だとも思う。

しかし、それは非常に一面的な明るい自分を拡大させているだけで、本質的な自分の大部分は別にある。そこを誰かに理解してほしいのだけど、その相手がほぼいないのだ。(たまに会う親友2人は少し分かってくれている)

 

人間、30歳にもなれば色々あるだろう。

でも、それでも、相手に背負いきれない負担を与えてしまう重みが、私の中に多すぎる。

親との不仲、自分の病気、身内の自殺、友だちの自殺、拒食症の頃の話、自分の自殺未遂…その出来事ひとつひとつのニュアンス。

別に重い気持ちになってほしいわけじゃないし、これはこれとして、そういうことがあったんだと認識してほしいだけなのに、そういう人はあまりいない。

話せば雰囲気を悪くしたり重くしたりするし、かといって同情されたり説教される気もない。この、ニュアンス。

まさに「正しく伝わらない気がして」。

 

「そうだったんだ」てすごくナチュラルに受け止められるのが、ドラマでは音ちゃんにとってレンくんだった。

 

私は今日も孤独な自分を自分でなぐさめている。

 

映画作品ベスト10(2020)

※今年私が観たベストです。(ノット 今年公開作品)

 

1位 パラサイト(2019)

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言わずとしれた大ヒット。第72回カンヌ映画祭パルムドール受賞。

大好きなポン・ジュノ。大好きなソン・ガンホ

無自覚な豊かさと抜け出さない貧しさについて、現代社会にカウンターパンチ。

すごく共感したし、辛い内容なのに、コメディ部分に笑った。エンタメ作品としてのバランス感覚がすごいんだんと思う。この作品に合わせて各映画館でポンジュノ特集があったのも嬉しかった。初めて見た「母なる証明」もめちゃくちゃ面白かった!好きな作品である「スノーピアサー」も映画館で見たかったなぁ。こちらは予定合わず。

 

2位 レ・ミゼラブル(2019)

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※あの「レ・ミゼラブル」とは別作品です。

サウルの息子」や「マッドマックス」ばりのノンストップ映画。少年の中の弱さや優しさがオセロのように反転していく様がすごい。あと、出てくる人の顔の見分けがつきやすくて良い。

 

3位 彼らが本気で編むときは(2017)

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静かに怒ることの美しさ。生田斗真キレイだったなぁ~。偽善的なところが無いのがいい。

 

4位 愛しのアイリーン(2018)

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ジャケットに騙されることなかれ。とても切なく苦しい作品。そして雪の中のシーンは美しい。社会性もある。あと、わたしゃ河井青葉が好きなんや。

吉田監督、高確率で面白い。「さんかく」、「ヒメアノ~ル」が特に好きかな。

 

5位 ミッドソマー(2019)

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これだけ後味悪い作品もなかなか無いぜ。しかし、前作よりは大分マイルドで大衆向けになった気もする。画面の端々に視聴者へのメッセージがあり、長江俊和の「放送禁止」シリーズよろしく、考察厨にはこんなに楽しい作品はなかった。

考察面白系で言えば、同じくA24作品の「It comes at night」もとても良かった。

 

6位 ジョーカー(2019)

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無敵の人。バットマンシリーズではあるけど、監督はこういう作品が作りたくて予算取りのためにバットマンを使ったようで、本筋としてはあんまり関係ない。「ハングオーバー」の監督の作品ってところが面白いところ。喜劇と悲劇は表裏一体。

ホアキン・フェニックスの全身を使った演技がすごい。ブリーフ一丁の姿も圧巻。

私も笑っちゃいけない(らしい)ところで笑ってしまうタイプなので、ジョーカーにはすごく共感。

観終わったあと「あ、そうか。みんな殺しちゃえばいいんだ。」て思っちゃったので危険な作品。

 

7位 怪物はささやく(2017)

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アニメーション部分など映像が美しい。ファンタジーでありながら、現実と向き合う強さをくれる。主人公の男の子の人相が素晴らしく好み。日本でいう清水尋也的な。

 

8位 スキャナーズ(1981)

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悪趣味で、とても趣味が良い。気持ち悪い表現のギリギリOKのラインを狙ってくる。怒涛の伏線回収が快感。

この監督「ザ・フライ」も好きなのよね~。



 

9位 許された子どもたち (2020)

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大好き、内藤監督。エグみと笑い、ポップな色彩バランスがすばらしい。

実在の事件から着想。映画館で2回見た。

 

10位 ブルーマインド(2017)

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思春期少女の不安妄想かと思いきや、まさかのオカルト。ミステリアスな雰囲気が好み。

 

★その他面白かった映画

 

狼よさらば(1974) 

 ある意味ジョーカー

 

・家族を想うとき(2019) 

 原題「Sorry we missed you」。全然違う邦題つけちゃった選手権。

 「パラサイト」と同時期公開で立て続けに観たらとってもキツかった。

 面白いしグッときたが、「わたしはダニエル・ブレイク」の方が好き。

 

プロフェシー(2002) 

 モスラ。オカルトミステリー。もやもやエンドが好み。

 

・スタンリーのお弁当箱(2011)

 インドも貧困。コメディなので楽しく見られるが、置かれている環境はひどい。

 

サーミの血(2016)

 サーミへの偏見と差別。静かで美しい作品でもある。

 

美女と野獣(1991)

 言わずと知れたディズニー映画。野獣の不器用さ、自己肯定感の低さに共感し、号泣。

 

・ベガスの恋に勝つルール(2008)

 頭空っぽで観られるラブコメ。可愛い二人の挑発しあいが楽しい。

 

・スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988)

 映画館で観たその日はなぜこんなにカルト的人気のある作品なのか、面白みがイマイチ分からなかったけど、数日後、数か月後何度となくあの青い空を思い出す。心に残った作品。

 

・幸福なラザロ(2018)

 宗教的知見が無いと理解が難しいが、大胆な展開ありの美しい作品。全て理解できている気はしない。

 

・沈黙のジェラシー(2008) ※原題HUSH

 壮絶な義母からのイジメ。ミザリーばりの怖さ。ドキドキハラハラが楽しい。

 

・スキン(2019)

 レイシストが全身の入れ墨を消し、生き方を変えるまで。長編だけでは物足りないので、短編と併せて観ること。環境で人の思考は育つ。自分で考えて選びとってきたことなんて、本当は何も無いのかも。

 

・リチャード・ジュエル(2019)

 クリントイーストウッドは安定して面白い。リチャードのどうしようもないダメなとこも込みで描いて、英雄や被害者にしないとこがミソ。みんなめんどくさい心がある人間。

 

・生きてるだけで、愛(2018)

 趣里ちゃんの身体表現の美しさ。へんてこな女性の立体感。無茶苦茶迷惑な女性のドラマだけど、ちょっと憧れちゃうような美しさもあった。

 

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今年は111本観ました。197本(2016)→149本(2017)→163本(2018)→137本(2019)なので、見る本数は大分減ってきた。今年は仕事が忙しくて、月90時間ほど残業したのもあって、映画館行く気もしなかった。忙殺されると、時間ができても好きなことする気力がわかなくなるんだということを学んだ。

今年は部署異動があったんだけど、コロナウイルスが流行った影響で、基本を知らないのにイレギュラーな仕事も増えて、精神崩壊しそうだった。「あたしは不幸じゃない」、「あたしは不幸じゃない」って毎日呟いてた。

実際、夏~秋は魂ぬけちゃって今思えば鬱の一歩手前だった。魂が戻ってきてからの冬からは、自分にとっての「仕事」や「幸せ」について考え続けている。

 

来年は好きなことして好きって思える毎日を取り戻したい。それが目標のひとつ。

映画作品ベスト10(2019)

※今年私が観たベストです。(ノット 今年公開作品)

1位 判決、ふたつの希望(2017)


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レバノンの話。ちょっとした口論がどんどん大きくなり、どんどんアンコトロールになっていく恐さ。裁判シーンの入る映画って退屈に感じて苦手なんだけど…これは面白かった。

 

2位 草原の実験(2014)


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おそろしく静かな映画。疲れてたら確実に寝てしまうけど、ラストへの振りでもある。静かで素朴で美しいが、それだけではない。お父さん役がほぼラッパーの崇勳さん。Wikipediaによると「セミパラチンスク核実験場 - ここで実施された核実験が基になっている」とのこと。不穏。

 

3位 サバイバルファミリー(2017)f:id:chiharebbb:20191230162452j:image

ウォーターボーイズスウィングガールズなどの矢口監督。最初は笑えるが、だんだん深刻になっていく。いかに普通の現代人が無力か、自力で生きられないのかを目の当たりにした。

このようなサバイバルもの、男性監督の場合ほとんど生理が出てこないんだけど、女としては「生理になったらどうしょ!!」てまず思ってしまうし、そこが描かれないのは疑問を感じる。あえて端折ったんかもですが。

とはいえ、邦画でここまで面白かったのは久しぶりなので嬉しい。

 

4位 静かなる叫び(2009)

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大きなばかうけと言われた「メッセージ」の監督の過去作。やっぱりこの監督ええわ~。

「1989年12月6日にカナダのケベック州モントリオールにあるモントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件をモチーフに描いた社会派作品。」(Wikipedia引用)

静かに静かに消えない痛みや事件のトラウマを時系列をぐらぐら動かしながら描く。こわい。あとサントラが作品にマッチしていて良かった。

 

5位

嘆きのピエタ(2012)


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言わずと知れたキムギドク作品。ゴールデンウィークの旅先のホテルで見てめちゃくちゃ暗い気持ちになった。すごくシビアな反面笑えるところもあり。登場人物全員可哀相で孤独。これを観た後はやすやすとは眠れなかった。それほどの衝撃。

 

6位

オマールの壁(2013)


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パレスチナ問題についての作品。これを観るまで知らなかったことがたくさんあったし、ドラマとしても面白かった。政府や社会が悪いのにいつの間にかミニマムな仲間内の裏切りなどに気を取られてしまうあたりは、パレスチナに限らずあるあるだと思った。

本当はオマールでなくて、オマルって名前らしいよ。

 

7位 ジョニー・マッド・ドッグ(2007)/暁に祈れ(2017)


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同じ監督。「暁に祈れ」を映画館で観て気に入ったので「ジョニー・マッド・ドッグ」も観たらさらに気に入った。

「ジョニー・マッド・ドッグ」は内乱中のリベリアの少年兵の話。内戦終結から数年しか経ってないのに、実際に少年兵をしていた子たちを使って映画をとってしまうという…彼らは演技のプロでないし文字も読めないというのに、監督すごい。メイキングも合わせて観ると、元少年兵の役者たちの心の葛藤や映画に救われていることも解る。あえてだと思うが、劇中は残虐なシーン控えめ。しかし、エンドロールの実際の戦争写真は…。

「暁に祈れ」は麻薬中毒のボクサーが異国の地タイで収監されてしまう話。言葉が通じない上に、めちゃくちゃひどい刑務所で暴力もレイプも当たり前なところで大変!!ななか彼なりに自分と闘い、ムエタイを極め、更生していく話。わりと息つく間もないジェットコースタームービー。ラストに注目。やはり、この監督の作品は人を救うのだ。刑務所の顔面全面刺青男はメイクでない。この刺青男も、レッドカーペットを歩き、スピーチする姿をニュースで見て、映画に関わることで救われた1人なのだと知る。その後また収監されたようだが…。

アウトローな奴らをまとめて作品を作ってしまうこの監督は本当にすごい。早く次作が観たいが、このペースなら次は2027年かなぁ。

 

8位 魂のゆくえ(2017)

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環境問題。聖職者のイーサン・ホークが環境問題にのめり込んで行き、どんどん上品おじさまから俗世間バリバリの飲んだくれおやじになっていく様が非常にエロい。不謹慎ですみません。

 

9位 僕たちは希望という名の列車に乗った(2018)


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冷戦下の東ドイツの子供たちの話。ちょっとした思いつきがどんどん大事に。当時の東ドイツの異常さがよく分かる。そしてイケメンパラダイス。放題長いなぁ。

 

10位は選べなかった…

 

ザ・レッスン 授業の代償(または 女教師の返済)(2014)/ニワトリ★スター(2018)/友だちのパパが好き(2015)/ミスミソウ(2017)/寝ても覚めても

 


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こちらブルガリア映画。ひたすら暗くて陰気。とても好み。お金に困った女教師がうろうろする1時間半。

 


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日本も格差社会だよなあ…と思ってしまう作品。鳥肌実さんのシーンや雰囲気が非常に好み。成田凌きゅん大好き!!可愛いかっこいい!!となる。前半の分かりづらい演出を乗り越えたら後半はひたすら号泣してしまう。高良健吾がアニメパートに出演しているらしいが、それを聞いたところでさっぱり分からない。グーグル検索に「ニワトリスター」と入れると予測に「高良健吾」、「高良健吾 どこ」と出てくる。みんな高良健吾を探しているが見つけられない作品でもある。

 


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タイトル通り友だちが自分のパパに惚れてしまう話。タブーで一般的でないが、観ているうちにむしろこれが真実の愛なのでは??と思い始めてしまう倫理観ぶっこわし映画。

 


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わたしは私は内野監督が大好き!!漫画原作の行き過ぎも行き過ぎのイジメ×殺し合いグロ作品だが、それが見事に成立している。グロと笑いと美しさの同居。役者も良かった。

 


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不穏で不気味な恋愛映画。秒速5㎝系かと思いきや全然違ったが、それが良かった。

 

✴✴✴

今年は137本観ました。年々本数は減っていますが、来年もぼちぼち自分が楽しい程度で観ていきたいと思います。ランキングには省きましたが、古い作品だと「ファミリー・ビジネス」、「タワーリング・インフェルノ」もすごく感動した!

いつまでも感動できる心を大事にしたいなぁ。それではまた来年~。